前半では、この本に出会ったことで、
私の苦しさに「名前」がついたことをお話ししました。
後半では、結婚生活の中で特につらかった
お金の問題や将来への不安、
そして「一緒に生き続けるかどうか」という選択について、
本の内容と私自身の経験を重ねながら書いていきます。
理解しようとすることと、
自分を守ることは、必ずしも同じではありません。
カサンドラ状態の中で、
私が何を手放し、何を選び、
どんな答えにたどり着いたのか。
これは、夫を責めるための話ではなく、
苦しさの正体を知り、
自分の人生を取り戻すまでの記録です。
第6章|お金に関する葛藤

この章では、夫婦間で起こる金銭感覚のズレは、
単なる「価値観の違い」ではなく、
物事の捉え方や認知の仕方の違いから生じている、
という点が語られています。
妻が感じている生活への不安や将来設計への思いは、
アスペルガー傾向のある夫には共有されにくく、
理解されにくい。
その結果、お金の話そのものが、
妻を孤立させていくという現実があります。
生活費や教育費など、
家庭を維持するために必要なお金に対して、
数字だけで判断し、
そこに含まれる感情や将来への不安を考慮しない。
妻が何かを購入すると
「なんでそんなに使うの?」
と言われやすいのも、この構造の中で起こります。
本書では、アスペルガーの人はお金を
「分かち合うもの」ではなく
「個人の所有物」として捉えがちな傾向があると説明されています。
自分が働いて稼いだお金を、
家族のために使う、妻に渡す、
という行為に意味を見出せない人も少なくありません。
特に妻が専業主婦や育休中の場合、
「家で何も生産していない人」
「怠けている人」
という極端な認識にすり替わってしまうこともあります。
それは、妻が担っている
子育て、家事、感情のケア、親族との調整といった
目に見えない労働を、
夫が想像できないからです。
そのため本書では、
「家族はチームであること」
「お金は生活を支えるためのもの」
という視点を、根気強く伝える必要があると書かれています。
ただし、アスペルガーの人は
自分が納得しない限り行動を変えることができません。
だからこそ、感情論ではなく、
伝え方や説明の仕方が非常に重要になると強調されています。
私の場合
彼は、付き合っていた頃から
お金への執着がとても強い人でした。
自分が「損をする」ことは、
どうしても許せなかったのだと思います。
結婚後、私が育休に入り収入が減ると、
「遊んでいていいよな」
「無駄遣いばかりしている」
と言われるようになりました。
育休中でも、私は
子どもの世話と家のことで毎日精一杯でしたが、
彼にはそれが
「仕事」としては理解できなかったのだと思います。
買い物をするたびに、
何を買ったのか
なぜそれが必要なのか
金額は妥当なのか
すべてを確認され、
私は常に監視されているような感覚で生活していました。
お金の話をするたびに、
自分の存在価値まで否定されているようで、
少しずつ、確実に心がすり減っていきました。
第7章|カサンドラから抜け出すために

この章で一貫して伝えられているのは、
「夫を変えようとすること」ではなく、
自分を守る視点を持つことの大切さです。
我慢し続けること、
理解しようと努力し続けることが、
必ずしも正解ではない。
むしろそれが、
カサンドラ状態を長引かせてしまうこともあると、
はっきり書かれています。
夫への期待値を下げること。
分かってもらおうと必死になりすぎないこと。
外部の支援(相談先・医療・第三者)を持つこと。
そして、自分の人生の主導権を取り戻すこと。
まず大切なのは、
「夫と一緒に生き続けることだけが選択肢ではない」
と知ることです。
今まで苦しんできたのは、
あなたが弱かったからでも、
努力が足りなかったからでもありません。
カサンドラを抜け出すために最も重要なのは「共感」です。
夫からの共感を期待し続けるのではなく、
共感してもらえる場所を
外に持つことが必要だと書かれています。
同時に、
困っているのは妻だけではなく、
アスペルガーの夫自身も
「分からなさ」の中で
生きづらさを抱えている、
という視点も示されています。
私の場合
この章を読んだとき、
今までの苦しみや悲しみを、
すべて理解してもらえたような気持ちになりました。
夫とのコミュニケーションがうまくいかないのは、私の伝え方や受け取り方がよくないと自分を責め続けていました。
特に
「夫と一緒に生き続けることだけが選択肢ではない」
という言葉は、
私を救ってくれました。
耐える人生しかないと思っていた私に、
「選んでいい人生がある」
と教えてくれた言葉でした。
第8章|結婚する前に男性の発達特性を知るには

この章は、これから結婚を考えている人に向けて、
結婚前に気づいておきたい視点を提示しています。
「優しい」「真面目」
それだけでは不十分だという、
はっきりとした警鐘です。
共感的な会話ができるか。
状況に応じて柔軟に対応できるか。
困ったときに相談できる相手かどうか。
結婚生活では、
正しさよりも
「話し合える力」が何度も問われます。
その土台があるかどうかは、
結婚前だからこそ、
冷静に見ておく必要があると語られています。
私の場合
彼と喧嘩をする中で、
あることに気づきました。
彼は
「私がなぜ怒っているのか」
「どんな改善を求めているのか」
に、まったく興味がありませんでした。
別居したときも、
「なぜ別居しようと思ったのか」
と聞かれたことは一度もありません。
彼にとって重要だったのは、
関係を修復することではなく、
自分が正しいかどうか、
喧嘩に勝つかどうかでした。
私は常に感情を無視され、
一緒にいても、
深い孤独を感じていました。
こういった点から彼は「話し合う力」は著しく低かったと今は思います。
第9章|離婚を決断する前に

この章では、
離婚は失敗ではないという考え方が、
丁寧に整理されています。
修復が可能かどうか。
子どもへの影響。
経済面や心身への影響。
感情だけで決めるのではなく、
現実的な視点で
一つひとつ考えていくことの大切さが、
静かに語られています。
印象的なのは、
離婚後に回復する妻が多い、
という現実にも触れられている点です。
どちらを選んでもいい。
選ぶ権利は、妻自身にある。
そう、そっと示してくれる章でした。
まとめ|別居中にこの本を読み終えて
この本を読み終えたとき、
彼の酷い言動は、性格の問題ではなく、
特性によるものだったのかもしれない、
そして、お互いに理解を深めることができれば、
結婚生活を続けられる可能性があるのかもしれない――
そんな希望を感じました。
それは同時に、
「私が悪かったのでも、彼が悪いかったのでもない」
と、初めて心から思えた瞬間でもありました。
もし彼が自分の特性を認識し、
向き合おうとしてくれるのなら、
まだ関係を続けられるかもしれない。
そう信じて、私は勇気を出して彼に相談しました。
けれど彼は、
病院に行くことを拒否し、
「名誉毀損で訴える」と言いました。
彼は、自尊心を揺るがしてまで、
結婚生活を続けることを選びませんでした。
結果として、
私たちは別れることになりました。
今でも、ふとした瞬間に、
彼に言われた言葉や傷ついた出来事を思い出し、
あまりにも自分が可哀想で、
胸が苦しくなることがあります。
それでもこの本は、
「あなたが悪かったのではない」
と、何度でも思い出させてくれます。
夫婦関係の中で、
言葉にできない苦しさを抱えているすべての人に、
ぜひ手に取ってほしい一冊です。
夜、一人で泣きながらスマホを見ているときでも、
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「今すぐ何かにすがりたい」
そんな気持ちのときに、そっと寄り添ってくれる一冊でした。![]()


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