「なぜ、普通の話し合いができないの?」 「どうして、私が一番辛いときに寄り添ってくれないの?」
真面目で誠実、仕事もできる夫。それなのに、家庭の中では言葉が通じないような、冷たい壁を感じて一人で涙を流していませんか?
私自身、産後のボロボロな体で救急搬送されたとき、夫から返ってきたのは「今、不機嫌だから行かない」という耳を疑う言葉でした。
当時は絶望しかありませんでしたが、その後、父から手渡された一冊の本が、私の止まっていた時間を動かしてくれました。そこには、私が悩み、誰にも理解してもらえなかった「孤独」の正体がはっきりと書かれていたのです。
今回は、カサンドラ症候群に苦しんだ私が、救いとなった一冊の本『夫がアスペルガーと思ったとき妻が読む本』の内容とともに、私自身のリアルな体験談をお話しします。
今、パートナーとのコミュニケーションに悩み、自分を責めてしまっているあなたへ。この記事が、あなたの心が軽くなるきっかけになれば幸いです。
産後の救急搬送、夫から言われた耳を疑う一言
産後、私の体調が悪く、救急搬送された日、父が彼に病院に付き添って欲しいと伝えました。 そうすると「今自分は不機嫌だから病院には行きたくない」と断ったそうです。
私が退院した日に父から1冊の本を手渡されました。 渡された時はアスペルガーという言葉は知っていましたが、あまり理解をしていなかったし、自分には関係ないと思ってました。
ただ読み始めてみると、そこにはまさに私が悩んでいたこと、彼の理解できなかったところが書いてありました。 この本は私にとって希望でもあり、たくさん悩んできたことへの答えでもありました。
今「夫婦のコミュニケーションがうまくいかない」「2人でいるのに孤独を感じる」と悩んでる方に是非読んでほしい1冊になります。

第一章 大人の神経発達の問題が注目されている

仕事では特に問題なく見える人でも、家庭や夫婦関係という密な人間関係になると、困りごとが一気に表に出てくることがあります。
本人に悪気はなく、「できない」「分からない」ことが多いのが特徴です。
妻がこれまで感じてきた
「なんで普通のことが分からないの?」
という疑問が、単なる性格の問題ではなく、発達特性の可能性として整理される章でもあります。
発達障害について世間で広く認識され始めたのは、ここ10年〜20年ほど前のことです。
現在では、発達に偏りのある子どもや、その保護者への支援体制もかなり整ってきました。
しかし一方で、成人になるまで特性が見過ごされ、就職後の対人関係のトラブルなどをきっかけに、初めて「自分は発達障害だった」と気づく大人も、近年増えています。
その中でも、普段は社会生活に大きな問題なく適応してきたものの、実はコミュニケーションや対人関係が苦手なアスペルガー傾向の人が、家庭を持ったことで問題が表面化し、本人以上にパートナーが苦悩するケースがあります。
これこそが、カサンドラ症候群の実態なのです。
私の場合
私の夫も同じでした。
国立大学を卒業し、大手企業に就職し、スポーツも万能。付き合った女性も多く、いわゆる「モテてきた人」だったと思います。
人間関係で困った経験がある、という話を聞いたこともありませんでした。
彼はいつも自信に満ち溢れていました。
ただ一緒に暮らしてみると、コミュニケーションが取れずに私はいつも困っていました。
第2章 カサンドラが結婚を決意するとき

カサンドラ状態に陥っている方の多くは、
「どうして結婚前に気づけなかったんだろう」「私の見る目がなかったせいだ」
と自分を責めてしまいます。しかし、それは大きな誤解です。
実は、結婚前に違和感を見抜くのは、ほぼ不可能に近いと言っても過言ではありません。そこには明確な理由があります。
交際初期のアスペルガー(ASD)傾向のある男性は、以下のような「安心感」を女性に与えるからです。
- 誠実・真面目: 嘘をついたり、駆け引きをしたりしない。
- 一途: 浮気の心配を微塵も感じさせない。
- ストレート: 社交辞令が苦手な分、情熱的でまっすぐな愛を伝えてくれる。
一方で、カサンドラ妻となる女性側には、以下のような共通点があります。
- 気が利く、察する力が高い
- 共感力が極めて高い
- 相手に合わせて柔軟に対応できる
といった特徴を持っていることが多く、
違和感やズレがあっても、
無意識のうちに自分が埋めてしまう傾向があります。
その結果、
「私が我慢すればいい」
「そのうち分かってくれるはず」
そう思いながら、結婚を決意してしまう人がとても多いのです。
孤独を深める「周囲からの言葉」
カサンドラの苦悩をより深くするのは、周囲に相談した時の反応です。
「どうしてそんな人と結婚したの?」 「付き合っている時に分からなかったの?」
こうした言葉を投げかけられることで、誰にも理解されない孤独感は増し、
「自分が選んだ人だから、私が頑張り続けなきゃいけない」と自分を追い込んでしまいます。
気づかないうちに心は削られ、疲弊しきってしまうのです。
「あの時の優しさ」は嘘ではなかった
なぜ結婚後にこれほど苦しむのか。それは、「結婚前と後で、彼の接し方が180度変わってしまったように感じるから」です。
ASD傾向のある男性は、「この人は自分の味方だ」と認識した相手に対して、非常に情熱的に接する時期があります。
カサンドラ妻の多くには、「この人と一生一緒にいたい」と確信させてくれる、大切にされたエピソードが必ずあります。
あなたが結婚を決めたのは、彼が見せてくれた「まっすぐな愛情」に、あなたの豊かな感性が応えた結果です。
決して、あなたの選択が間違っていたわけでも、見る目がなかったわけでもありません。
あなたは、ただ一生懸命に人を愛し、関係を築こうとしただけなのです。
私の場合
私はどちらかというと、人が好きで、人に興味があるタイプです。
だからこそ、自然と看護師という職業を選んだのだと思います。
相手の気持ちを感じ取ったり、寄り添ったりすることは、私にとって特別なことではありませんでした。
そんな私に、彼は出会った頃から猛烈な愛情表現をしてきました。
付き合ってからも、毎日のように「結婚しよう」と言われ、
私は
「この人は、私を大切にしてくれる人なんだ」
そう信じて、疑うことはありませんでした。
けれど、結婚した途端――
彼は、私にほとんど興味を示さなくなりました。
第3章 カサンドラの傷つき

カサンドラ妻は、日常の中で次のような体験を重ねていきます。
- 話を聞いてもらえない
- 気持ちを理解してもらえない
- 相談すると論破されたり、正論で返されたりする
- 感情を出すと「面倒くさい」と扱われる
その結果、
- 自分の感情が分からなくなる
- 自信を失っていく
- うつや不安、身体症状が現れることもある
といった状態に追い込まれていきます。
この章では、
「あなたが弱いからではない」
ということが、はっきりと書かれています。
苦しんできた妻にとって、救いになる章です。
この章では特に、妊娠や出産という人生の大きな転機で、妻たちが深い傷つきを経験するエピソードが紹介されています。
初めての妊娠・出産は、身体的にも精神的にも不安が大きく、
「夫に支えてほしい」という気持ちが、これまで以上に強くなります。
しかし、アスペルガー傾向のある人には、
- 相手の気持ちを想像することが苦手
- 共感することが苦手
という特性があります。
そのため、例えば――
つわりで苦しんでいる妻に対して、
「そんなに苦しいなら、おろしてもいいよ」
と、悪気なく口にしてしまう。
あるいは、妻の出産中に
「自分にできることはないから」
と、落語を見に行ってしまう。
一般的な感覚では、到底理解できないような行動をとることがあります。
けれど、アスペルガー夫本人には、悪意はありません。
「苦しんでいるなら無理をしなくていい」
「自分ができることはないのだから、その時間を有意義に使ったほうがいい」
本人なりの論理や配慮の結果、そうした言動や行動に至っているだけなのです。
ただし、夫がアスペルガーだと分からない妻にとっては、
それらはあまりにも不可解で、残酷に感じられる行為です。
その一つ一つが、心に深い傷として刻まれていきます。
私の場合
私も妊娠中、彼から
「自分は子どもなんてほしくなかった」
「子どもに、私を取られてしまう」
と、私には到底理解できない言葉を投げかけられました。
また、緊急帝王切開が決まった日も、
「緊急帝王切開で死ぬ確率は低いから」「自分が病院に行く途中に事故にあったら困るから」
という理由で、彼は病院に来ませんでした。
この出来事は、私の心を深く傷つけました。
なぜ彼が、そんなことを平気で、常識のように言えるのか、
当時の私には、まったく理解できなかったのです。
第4章 子どもが生まれて変化するAS夫との生活

出産や育児をきっかけに、問題が一気に表面化することがあります。
アスペルガー傾向のある夫は、
- 予定外の出来事が苦手
- 睡眠不足や環境の変化に弱い
- 子どもの泣き声や生活音を強いストレスとして感じる
- 育児を「共同作業」ではなく「役割」としてしか理解できない
といった特徴を持つことがあります。
その結果、妻側は、
- 育児がワンオペになりやすい
- 夫に頼れない強い孤独感を抱く
- 「夫がもう一人の子どものようだ」と感じる
ようになっていきます。
出産後に
「結婚前とは別人のようになった」
と感じる理由が、この章で明らかにされています。
子どもが生まれた後、カサンドラ妻が抱える悩みは、大きく分けて二つあります。
一つ目は、人生のパートナーとしての問題です。
アスペルガー傾向のある人は、マイルールや強いこだわりを持っていることが多く、中には
「子どもはいらない」
「自分だけを愛してくれればいい」
という強い結婚観を持っている人もいます。
しかし、交際中の女性は、それを本気の言葉として受け取らないことがほとんどです。
たとえ本気だったとしても、
「実際に子どもが生まれたら変わるだろう」
と期待してしまいます。
けれど、アスペルガー夫は基本的に変わりません。
そのため、子どもに関するトラブルが起きても、どこか他人事で、
「自分は子どもが欲しくなかった」
といった、無責任に聞こえる言動を繰り返すことがあります。
二つ目は、父親としての問題です。
アスペルガー傾向のある人は、相手の態度や表情から気持ちを想像することが苦手なため、
赤ちゃんのサインにも気づきにくく、育児そのものが非常に難しい場合があります。
出産時から夫に不信感を抱いている妻は、
「この人には子どもを任せられない」
という思いを強め、次第に孤立していきます。
さらに、アスペルガーの人は
「自分・妻・子ども」
という三者関係が苦手です。
つまり、「夫らしさ」と「父親らしさ」の両方を同時に求められても、どう振る舞えばいいのか分からないのです。
その結果、子どもを邪魔な存在だと感じて攻撃的になったり、
逆に妻に過度に依存し、べったり甘えることで自分を守ろうとするケースもあります。
アスペルガー夫と夫婦関係がうまくいかなくなるタイミングは、
子どもが生まれてからが圧倒的に多いと報告されています。
私の場合
発達障害のある人には、何らかの「過敏さ」を持っていることが多いと、後になって知りました。
彼と一緒に暮らし始めて、まず驚いたのは、
音の敏感さです。
私が夜中にトイレに起きただけで、翌日、
「ドアの開け閉めの音や足音がうるさかった」
と怒られました。(付き合ってる時は言われたことがなかったです)
それ以来、彼が寝ている間は怒られないように、
物音を立てないよう神経を張り詰めて生活するようになりました。
また、舌もとても敏感で、
いつもと少しでも味付けが違うと、怒られることがありました。
子どもが生まれてからは、
まだ生まれたばかりの子どもが泣くたびに、
彼は
「うるさい!」
と怒鳴っていました。
今思えば、彼にとって赤ちゃんの泣き声は、
耐えがたいほど不快だったのかもしれません。
また、
「赤ちゃんは泣くのが当たり前」
という、ごく基本的な感覚すら持てなかったのかもしれません。
それでも――
生まれたばかりの、何も分からない子どもに怒鳴ることは、
どんな理由があっても、
許せませんでした。
「この人には子どもを預けられない」
そう思い、私はこの本に書かれている通り、次第に孤立していきました。
同じ空間に一緒にいるはずなのに、
彼は自分のペースを一切崩さず、
私はまるで、透明人間になってしまったような気分でした。
第5章 子どもの学童期の困りごと

子どもが学童期に入ると、夫婦間の子育て方針や教育観のズレが一気に深刻化します。
この時期、AS傾向のある夫には次のような特徴が表れやすいと言われています。
- 子どもの気持ちを汲み取れない
- 融通がきかず、白黒思考になりやすい
- 厳しすぎる、もしくは極端に無関心になる
また、子ども自身が発達特性を受け継ぐケースもあり、問題がさらに複雑化します。
一方、妻は
- 子どもと夫の間に立たされる
- 家庭内の調整役を一手に引き受け、疲弊していく
👉 「母親だけが必死になる構造」が、はっきりと可視化される時期でもある。
アスペルガーの人は、基本的に子どもに対して
「好かれたい」「嫌われたくない」
という感情を強く持っています。
そのため、赤ん坊の頃は、
ミルクをあげる
オムツを替える
といった目に見える世話は、よくしていたという話も多く聞かれます。
しかし、子どもが成長すると、
ただ可愛がるだけではなく、
年齢や発達に合わせた教育やしつけが必要になってきます。
本来であれば、妻と話し合いながら教育方針を決めていくものですが、
AS傾向のある夫は、他人に決められたルールに従うことが苦手です。
さらに、子どもの発達段階を具体的にイメージすることが難しいため、
まだ幼い子どもの体力を考えずに長距離のサイクリングに付き合わせたり、
子どもが欲しがるままに、悲惨な戦争写真が掲載された本を与えてしまったりすることもあります。
それは悪意ではなく、
「今の年齢の子どもに、何が適切か」
という視点が抜け落ちていることによるものです。
私の場合
私の場合、彼とは子どもが生後6か月のときに別居してしまったため、学童期の具体的な関わりについては正直よく分かりません。
ただ、ひとつはっきり覚えているのは、彼が
「子どもにはお金をかけない」
と繰り返し言っていたことです。
理由は明確で、彼自身が
小・中・高校、大学まですべて国公立で進学し、大学も奨学金を借りていた
という経験をしており、それが「正解」だと強く信じていたからです。
一方で私は、
中高一貫の私立校に通い、大学も私立でした。
それが絶対に正しいとも、誰にでも当てはまるとも思っていません。
ただ、
子どもが興味を持ったことには挑戦させてあげたい
教育には、ある程度お金をかけた方が選択肢は広がる
そう考えていました。
けれど彼にとっては、
「自分が正しいと思っている価値観」以外を受け入れることが、とても難しかったのだと思います。
これは性格なのか、特性なのか、今でもはっきりとは分かりません。
ただ、柔軟に話し合い、状況に応じて考えを変えるということができない人だった、というのは確かです。
もし一緒に暮らし続けていたら、
子どもの教育や進路をめぐって、
きっと私は何度も苦しみ、衝突し、諦めることになっていたと思います。
そう考えると、この点については、
離婚してよかったと思える理由のひとつでもあります。
【まとめ:あなたはもう、一人で抱え込まなくていい】
父から渡された1冊の本が、私の止まっていた時間を動かしてくれました。そこにあったのは、冷酷な夫の姿ではなく、「特性ゆえに共感が難しかった男性」と、「その隣で愛情が枯渇するまで頑張りすぎてしまった私」の姿でした。
アスペルガー傾向のあるパートナーとの生活は、外からは見えにくい苦痛の連続です。
暴力もなく、浮気もしない。それなのに孤独だけが深まっていく。その正体がわからず自分を責めている方に、私は伝えたいです。
「あなたが悪いわけでも、あなたの努力が足りないわけでもありません」
まずは相手を理解すると同時に、自分の心がどれほど傷ついてきたかを認めてあげてください。
この本が教えてくれたのは、夫の特性だけでなく、ボロボロになった妻の「ケアの必要性」でした。
もし今、あなたが暗闇の中にいるのなら、一度立ち止まって本を開いてみてください。そこには、あなたが今まで誰にも分かってもらえなかった感情の「答え」が、きっと書いてあります。
一人でも多くのカサンドラ妻の心が、少しでも軽くなることを願っています。
夜、一人で泣きながらスマホを見ているときでも、
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