私も相手も、離婚調停・離婚裁判の両方で「モラハラがあった」として慰謝料を請求しました。しかし、調停ではお互いに主張を認めず、裁判ではLINEなどの証拠を提出したものの、結果としてどちらのモラハラ主張も認められませんでした。
なぜ「モラハラ」として認められなかったのか。そして、どんなケースなら慰謝料が認められるのか。この記事では、実体験をもとにモラハラ慰謝料請求の難しさと立証のポイントを詳しく解説します。
慰謝料を請求できる主なケース
まず、法律上、慰謝料を請求できるのは、以下のように「有責行為」があった場合です。
- 不貞行為(浮気・不倫):夫婦関係を破綻させる代表的な行為
- 暴力・DV:身体的な暴力や脅迫も不法行為に該当
- 悪意の遺棄:生活費を入れない、正当な理由なく家を出るなど
- 婚姻を継続し難い重大な事由:過度な浪費や精神的虐待(モラハラ)など
私はこの中の「精神的苦痛(モラハラ)」を理由に慰謝料を請求しました。ただし、現実には不倫や暴力と比べて、モラハラの立証は非常に難しいのが実情です。
不倫・DV・モラハラの立証の難易度
それぞれの立証のしやすさや必要な証拠を整理すると、以下の通りです。
不倫(不貞行為)の慰謝料請求
立証のしやすさ:★★★☆☆(比較的認められやすい)
不倫は「肉体関係があったこと」を客観的に証明できれば、慰謝料が認められやすい傾向にあります。
主な証拠
- LINEやメール、SNSでのやり取り
- ホテルの領収書や写真、目撃証言
- 相手の自白や証言
感情的なつらさよりも、「肉体関係を裏付ける証拠」が決定的なポイントです。
暴力(DV)の慰謝料請求
立証のしやすさ:★★★☆☆(比較的認められやすい)
身体的被害は目に見えるため、モラハラよりも立証が容易です。
主な証拠
- 医師の診断書(ケガの写真)
- 警察への被害届
- 家族や近隣の目撃証言
単発の暴力でも慰謝料が認められることはありますが、繰り返し行われた場合は金額が上がる傾向にあります。
モラハラ(精神的虐待)の慰謝料請求
立証のしやすさ:★☆☆☆☆(最も認められにくい)
モラハラは、暴言や支配的な態度など「目に見えにくい行為」であるため、証拠が不十分だと「性格の不一致」「夫婦喧嘩」と判断されがちです。裁判所は「主観的につらかった」ではなく、客観的に不法行為があったかどうかを重視します。
モラハラ慰謝料が認められなかった主な理由
私自身のケースも含め、モラハラ主張が認められにくい背景には、次のような要因があります。
- 証拠が断片的で、継続性・反復性が示せなかった
- 通院歴や診断書がなく、精神的被害の裏付けが弱かった
- 婚姻期間が短く、被害の蓄積が少なかった
- 双方が慰謝料を請求しており、どちらが加害か明確でなかった
裁判所が求めるのは「感情的なつらさ」ではなく、客観的・継続的に確認できる被害の証拠です。
モラハラ慰謝料を認めてもらうための5つの立証ポイント
- 日々の記録を詳細に残す
日時・内容・状況・感情を具体的に記録すること。「3月5日:『お前はバカだ』と言われ、1時間泣き続けた」など、客観的に再現できる書き方がポイントです。 - 客観的証拠を揃える
医師の診断書、カウンセリング記録、友人・家族・同僚への相談記録や証言など、第三者の証拠が信頼性を高めます。 - 継続性・反復性を示す
モラハラは一度きりより繰り返しが重視されます。記録で複数回の被害を示しましょう。 - 慰謝料の相場を理解しておく
精神的虐待は10万〜100万円程度、被害が長期・悪質なら200〜300万円超の事例もあります。 - 弁護士と戦略を練る
どの証拠で立証できるか整理し、調停や示談など現実的な解決方法も検討しましょう。
実際に慰謝料が認められた事例と金額の目安
LINEやメールでの暴言、録音データ、医師の診断書、家族・職場の証言、被害の影響(休職・体調不良など)が組み合わさることで、慰謝料が認められるケースがあります。
慰謝料の目安:50万〜300万円程度。平均では約93万円前後という調査結果もあります。
私のケースと感じたこと
私の場合、婚姻期間はわずか2年ほどで、通院歴もなく、仕事も続けていたため、弁護士からは「立証は難しい」と言われていました。慰謝料請求についても、正直「無理かもしれない」と思いながら、それでも自分の思いを伝えるために書面を作成し提出しました。
結果として慰謝料は認められませんでしたが、それでも自分の思いを主張できたことには意味があったと感じています。だから、どうかあきらめずに、自分の痛みを正当に認めてもらうための一歩として、慰謝料請求に挑戦してほしいと思います。
まとめ:モラハラ慰謝料は「感情」ではなく「証拠」が鍵
- モラハラは目に見えにくく、証拠がなければ認められにくい
- 日記・診断書・証人・録音など、あらゆる証拠を組み合わせる
- 継続性・反復性を示すことで、信ぴょう性が高まる
- 弁護士と一緒に戦略を立て、現実的な解決方法を検討する
つらい経験をただ我慢するのではなく、「証拠」という形に残すことが、自分の権利を守る第一歩です。今日からでも少しずつ記録を始めてみてください。


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