「出産したら、きっと夫も父親として変わってくれる」──そう信じていました。
しかし現実は、夫は出産に立ち会わず、産後すぐに必要だった支えも得られませんでした。入院中には両親と夫が衝突し、私は心も身体も傷ついたまま育児と向き合うことになったのです。
出産当日の現実
里帰り出産を選んだ私は、実家で穏やかに過ごしていました。夫も時々会いに来てくれましたが、趣味や予定を優先して、ほとんど一緒にいることはありませんでした。
そして出産当日。トラブル続きで緊急帝王切開に。そのことを夫に伝えましたが、家から病院までは2時間。間に合わないのは仕方ないと思っていましたが、それでも終わった頃には来てくれると信じていました。
しかし、手術後に病室で待っていたのは義両親。義母は私にこう言いました。
「息子が向かう途中で事故に遭うと困るから、代わりに私たちが来たのよ」
結局、夫が息子に会ったのは退院して1週間後のことでした。
両親と夫の衝突
私が手術中、夫が趣味のジムに行っていたことが発覚しました。
それを知った両親は「手術の日は来た方が良かったのでは?」と夫に伝えたそうです。
すると夫は両親に激しく怒り出しました。
「運転して自分にもしものことがあったら子どもと私が路頭に迷う」
「関係ない人に言われたくない」
「私が来なくていいと言った」
その後、私にはこんな連絡が届きました。
「退院したら実家には帰るな」
「帰るなら子どもに会わない」
「私の両親に子どもを会わせるのは教育上よくない」
手術直後の私に労いも心配もなく、ただ責め立てる言葉ばかり。
帝王切開後の痛みに耐えながら育児をする中、心までボロボロになっていきました。
退院後の選択
夫には「家に帰ってこい」と言われていましたが、貧血や体調不良が続き、夫が育児を手伝ってくれるとは到底思えませんでした。
私は「退院後は一度実家に帰る」と伝えました。
すると夫は怒りの連絡を寄越しました。
「俺から子どもに会う権利を奪った」
「息子に会わせない酷い母親だ」
「離婚するぞ。離婚したら養育費も一切払わないし、息子にも合わない」
それでも、誰かの手助けがなければやっていけない状況でした。
義両親と夫の突然の来訪
それまで「実家には行かない」と言っていた夫が、急に「会いに行く」と言い出しました。やっと会いに来てくれると、とても嬉しかったです。
そして当日。夫は義両親を連れてやってきました。
玄関には仁王立ちの義母と、申し訳なさそうな義父。その後ろに無表情で立つ夫。
私も両親も驚きましたが「孫に会いに来たのだろう」と思い、中に入ってもらおうとしました。
しかし義母は両親に向かって言い放ちました。
「外野がうるさいのよ! 2人のことはほっといてあげて!」
義父が慌てて止めましたが、夫は何も言わず、ただ後ろに立っているだけでした。
私は涙ながらに「息子を抱っこしてあげてよ」と訴えました。
しかし返ってきた言葉は──
「そういう気分じゃない」
父が「孫に会いに来たんじゃないなら、娘も体調が悪いので日を改めてください」と言い、義両親と夫は息子に目もくれず帰っていきました。
崩れ落ちた心と身体
扉が閉まった瞬間、私はストレスで過呼吸になり、そのまま倒れました。
病院で診てもらうと「貧血が酷いのと子宮に血が溜まっている」との診断。処置が必要でした。
父が夫に連絡し「病院に来てほしい」と伝えましたが、返ってきたのは──
「自分の気分が悪くて会いに行けない」
結局夫は病院には来ませんでした。
本来なら、息子の誕生をみんなで喜ぶはずの日。けれど主役は息子ではなく、争いと拒絶でした。
あの日、夫と義両親は息子に会いに来たのではなく、私の両親に文句を言いに来ただけだったのだと悟りました。
それでも私だけは「息子が生まれてくれた奇跡を大切に、産まれてきてくれたことに感謝し大切に育てよう」と決意しました。
学び・アドバイス
- 出産は夫婦の絆を深める機会にもなるけれど、逆に本質が浮き彫りになることもある
- 産後の母体は想像以上に心身ともに弱っているため、パートナーの言葉や態度が深く突き刺さる
- 実家に帰ることや周囲のサポートを受けることは決して悪いことではない。母が安心できる環境こそが赤ちゃんにとって一番大切
読者へのメッセージ
出産後は、幸せだけではなく孤独や葛藤に直面する人も多いと思います。
私自身も「母として頑張らなきゃ」と気を張りすぎていましたが、サポートを受ける勇気を持つことがとても大切だと実感しました。
特に「産後クライシス」と呼ばれる現象があります。
これは、出産をきっかけに夫婦関係が急速に悪化してしまう状態のこと。
産後の心身の負担や価値観の違いが表面化し、互いにすれ違いや衝突が増えてしまうのです。
私も例外ではなく、まさに産後クライシスの真っただ中にいました。
環境の変化に適応するために、お互いが少しずつ歩み寄れるかどうかが、その後の夫婦関係を大きく左右するのだと思います。
出産や育児で悩んでいる方へ──
あなたはひとりじゃありません。
小さな一歩でも、サポートを受けたり気持ちを共有したりすることから始めてみてくださいね。
【離婚までの経緯④へ続く】


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